零れ落ちる。
両手で掬った水のように、塞ぎきれない掌の隙間から零れ落ちる。
嗚呼、何も残らなかった、と、掌に膜を張った水分だけが愛おしい。
貯めようとするから、無くなるのが怖くなる。掬う事を覚えてしまったから、無いものを強請る。
悪循環のそれを解消などできず、その循環しか知らぬように廻る。
水が乾き切ってしまったらお仕舞い。それを受ける側でしか考えたことがなかった私は傲慢。
私は、水になれるだろうか。
留まれないのならば、沸き続けたい。流れ続け、枯れることの無いように。
流れ続け、渇くことのないように。